本県薬業は富山2代藩主前田正甫公が「反魂丹」の製法を受け継ぎ「先用後利」の販売方法により「富山のくすり」を全国に広めて以来300余年、先人の英知と努力により、幾多の困難を乗り越えて着実な発展を遂げて参りました。また、その蓄積された資本が後に銀行や電力その他関連産業の発達を促し、今日に至っております。
さて、当連合会は、昭和27年6月に富山県薬業会と富山県家庭薬協同組合連合会が合同し、社団法人として富山県知事の認可を受け設立されました。以来、富山県薬業界の中枢団体として指導教育、販路の拡大、経営改善など拡販の事業を積極的に実施し、業界の健全な発展と国民の保健衛生の向上に努力を傾注して参りました。
昭和30年代の高度成長期に、後継者難から、本県配置販売従事者の減少傾向が顕著となり、加えて薬害問題から製造面で品質や安全性の確保が重視され、昭和51年にGMPが実施されるなど、中小企業の多い本県の医薬品業界は大変厳しい状況に直面しました。こうした難局に対応するため配置薬業界は、国の中小企業近代化促進法の業種指定を受け、業界一丸となって近代化・構造改善事業を実践して参りました。
一方、昭和36年、健康保険制度の確立に伴い医療用医薬品の生産が活発化し、また、平成17年の薬事法改正により受託製造が全面可能になったことから、本県の医薬品生産額は飛躍的に伸び、現在では全国トップクラスの生産額を誇っております。このように本県薬業が大きく発展したのも国をはじめ、県当局、薬業関係市町、並びに富山大学など多方面から格別のご指導とご支援をいただいたお陰であります。
とりわけ、県当局におかれては薬事総合研究開発センターや薬業研修センターの設置、更にはくすり振興課を設置されるなど、物心両面での力強いご支援をいただいており、ここに深く感謝申し上げます。
今日、我が国は先行き不透明な経済状況の中、加えて少子高齢化が著しく伸展し、諸制度の抜本的見直しが進められており、医療の分野においても医療制度改革が進められています。更に医薬品販売制度も一般用医薬品のネット販売が解禁されるなど、医薬品業界を取り巻く環境は大きく変化しています。このような中で「自分の健康は自分で守る」というセルフメディケーションの役割が益々重要性を増しており、OTC薬や配置薬に対する国民の期待も一段と高まっております。
当連合会は、これからも創立の精神に立ち返り、社会経済の急激な変化を的確に把握し、本県薬業界全体が飛躍発展し、併せて国民の保健衛生の向上に貢献しうるよう積極果敢に事業活動を展開して参りたいと存じます。
一般社団法人 富山県薬業連合会
会 長